1)フィナステリドのAGA治療薬としての使用:プロペシア(Propecia)
①プロペシアの効果
男性型脱毛症(AGA)とは、主に頭頂部と前面部にみられる男性の脱毛症です。日本では男性のおよそ30%がAGAを患っているとされています。男性型脱毛症は、遺伝の影響と、男性ホルモンであるジヒドロテストステロンの影響によるものだと考えられています。
男性型脱毛症(AGA)を治療するためのフィナステリドはプロペシアという商品名で販売されています。用量は0.2mgと1mgが販売されています。
フィナステリドは、体内ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の量を減少させることで作用します。 DHTの量を減らすと、毛の再成長が促進され、脱毛症が進行することを抑制します。
フィナステリドは体の他の部分の体毛の発毛には影響を与えません。
② プロペシアの用法・用量
推奨される用量は、1日に1回経口で0.2mgまたは1 mgを服用します。
医師は通常、服用を開始してから初めの1ヶ月は0.2mgを処方し、身体の反応を見て、2ヶ月目から1mgを上限にそれぞれの患者に適切な用量を処方します。詳しい用法用量は医師の指示に従う必要があります。
プロペシアは食事の有無にかかわらず服用できます。
1日のどの時間帯に服用しても構いませんが、毎日同じ時間帯に服用することが推奨されています。
一般に、効果があらわれるまで3か月以上の時間がかかり、毎日服用することが必要になります。効果を維持するためには継続的に服用することが推奨されます。
定期的に医師の診断を受け、症状と効果を確認する必要があります。薬物治療を中止すると、12か月以内に効果が失われ、AGAの症状が逆戻りするとされています。
2)フィナステリドの前立腺疾患治療薬としての使用:プロスカー
① プロスカーの効果
良性前立腺肥大症(BPH)は、前立腺が通常の大きさよりも肥大し、頻尿、排尿開始のトラブル、尿の勢い低下、膀胱をコントロールする能力の低下などの症状が引き起こされる疾患です。合併症には、尿路感染症、膀胱結石、慢性腎臓病などがあります。
症状のメカニズムは、前立腺が肥大することで尿道を圧迫することにより、膀胱から尿が排出すること困難になります。原因は完全には解明されていませんが、家族の病歴、肥満、2型糖尿病、運動不足、ED(勃起不全)などがあります。 前立腺肥大症は通常40歳以降に始まり、50歳以上の男性のおよそ半数、 80歳以降の男性の約90%が患っているとされています。
日本人男性においては50歳でおよそ30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%にBPHの症状が見られるとされています。
フィナステリドは、体内のホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の量を減らすことにより作用します。 DHTは通常、前立腺が肥大する原因となります。
DHTの減少は前立腺が大きくなることを防ぎ、前立腺肥大症に伴う排尿障害などの症状を緩和するサポートを行います。
②プロスカー(5mg錠)の用法・用量
プロスカー(PROSCAR)を服用することで急性尿閉のリスクを減らし、経尿道的前立腺切除術(TURP)および前立腺切除術を含む手術の必要性のリスクを軽減します。
通常、アルファ遮断薬のドキサゾシンと組み合わせて投与されます。
プロスカーは前立腺癌の予防のために承認されていません。
プロスカーは、食事の有無にかかわらず服用することができます。
単独で服用する場合、1錠(5 mg)を1日1回服用します。
ドキサゾシンとの併用する場合、ドキサゾシンと併用して1日1回1錠(5 mg)を服用します。
詳しい方法用量は医師の指示に従う必要があります。